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このシリーズで毎月ウオッチしている『厳選投資』、正式ファンド名 スパークス・新・国際優良日本株ファンドの第9期運用報告書(決算日 2017年3月27日時点)がスパークス・アセット・マネジメントのWebサイトに掲載されました。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド | SPARX Asset Management
運用報告書には
全体版 と 交付運用報告書 の2種類ありますが、ここでは 全体版 に注目します。
最初に大きく改善が見られた点を挙げておきます。
Webサイトのリニューアルで、過去の運用報告書が閲覧できるようになりました。
さらに遡って見られると尚良いのですが、以前の運用報告書が閲覧できればファンドの内容、特にポートフォリオを比較することが出来ます。ボクが最も注意したいポイントの一つがポートフォリオなんですよね。
では、2017年3月27日時点のファンドのポートフォリオを見てみましょう。
クリックで拡大してください。
2017年3月27日時点でファンドは16社の株式で構成されています。
期中に全売却されたのが3社、新たに組入れられたのが2社です。
日本たばこ産業とリクルートホールディングスです。
次に、1年前はどうなっていたのか見てみましょう。
http://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/unyouz-gen8.pdf
第8期には、全売却が無い一方、新たに組み入れられたのが4社ありました。第9期末もポートフォリオに残っているのは、ソフトバンクグループ1社のみです。クボタ、ダイキン工業、いすゞ自動車の3社は一旦組み入れられたものの、このファンドとしては極めて短い保有期間でポートフォリオから外されたことが窺えます。運用報告書でその背景や理由を説明するのは難しいものと想像されますが、ファンドの運用方針からすると「なんで?」と感じてしまいます。
さらに1年遡ってみましょう。
http://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/unyouz-gen7.pdf
第7期も全売却は無く、1社がポートフォリオに新たに組み入れられました。そのテルモは第9期末もポートフォリオに入っています。この運用報告書には第6期末、2014年3月27日の状況も記載されているわけですが、第6期末のポートフォリオを構成していた12社は全て、2017年3月27日時点でも組み入れられていることが分かります。
このどっしりとした運用こそがボクが一番評価している点です。
2017年3月27日時点のポートフォリオ各社の組み入れ比率の推移です。
ここでもう一度、第9期運用報告書のポートフォリオ明細に戻ります。
株数に注目してください。前期末から保有していた銘柄のうち、この9期の期中に株数が増えているのは花王とロート製薬のみです。報告によると「株価が好調な企業の株を一部利益確定売りした一方、株価が低調な企業の株の買い増しを行いました」と説明されていますが、この背景にはファンドからの資金流出も影響を与えていたものと想像されます。純流出傾向は依然続いていて反転の兆しが感じられないのは、ファンド保有者として非常に寂しいですね。
もう一つ、アクティブシェア(ポートフォリオがどれだけベンチマークと異なっているかを計算したもの。たとえば こちら をご参考に)という観点でこんな比較もしてみました。比較対象は このETF の3月末のポートフォリオです。なお、このファンドはTOPIX(配当込)を参考指数としているのみで、ベンチマークとしていません。
ファンドを構成する16社のTOPIXでのウエイトは約7.5%です。ロート製薬はTOPIXでのウエイトと比べると129倍のウエイトでファンドに組み入れられています。アシックスは74倍、ミスミグループ本社は63倍です。「厳選投資」ですからこうなるのは当然と言えば当然ですが、個人的にはワクワクさせられます。
もう一度、第8期運用報告書と第9期運用報告書を見比べてみると、第8期にあった「運用担当者からのメッセージ」が無くなってしまったこと、冒頭の阿部社長の「ごあいさつ」が全く同じ内容であること、この2つは非常に残念に感じました。その一方で、第9期の運用報告書には「投資環境」という項目が加えられました。そこで次のように述べられています。
当ファンドは、今後グローバルでの活躍が期待できる日本企業について、少数銘柄への厳選投資を行い、原則として短期売買は行わないことで資産の長期的な拡大を目指しております。運用成績を評価する際、私どもが重視しているのは単年度リターンではなく、長期リターンです。具体的には、最低でも3〜5年間の累積リターンをもって当ファンドの成績が評価されるべきであると考えます。
まさにこの点は重要です。こちらをご覧ください。
このファンドに異常な資金流入が始まったのは2015年7月です。
まだ1年半程度しか経ってないのです!
にもかかわらず、2016年7月からずっと連続で毎月資金流出しているのです。
ファンドマネジャーが「最低でも3〜5年間の累積リターンをもって当ファンドの成績が評価されるべき」と云うファンドに、実に沢山の落ち着きのないお金、投資家が加わっていたといことに他なりません。
このようにどっしりとした運用を行っているファンドでこのような資金の流れになってしまっているのは本当に残念です。しばらくはこの傾向が続いてしまうものと半ば諦めていますが、ボク自身、このファンドのポートフォリオ、運用や月次レポートには信頼を寄せている、「好き」なファンドなので、これからもコツコツ買い続けるつもりです。
以上、スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資) 第9期運用報告書をチェックしてみました。
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